『タクシードライバー』スコセッシ×デニーロの傑作アメリカ映画【ネタバレ】

タクシードライバー

今回レビューする作品は『タクシードライバー』、ジャンルとしてはヒューマンものですがクセは強めです。

カンヌ国際映画祭で最高賞であるパルムドールを受賞。

いかにもカンヌ受けしそうな、人によって評価や好みの分かれる作品でしょうね。

もちろん私は好きです、この作品。

以降ネタバレあり

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『タクシードライバー』のあらすじとキャスト

タクシードライバー
引用元:IMDb

マーティン・スコセッシ監督とロバート・デ・ニーロがタッグを組み、孤独なタクシードライバーの姿を通して大都会ニューヨークの闇をあぶり出した傑作サスペンスドラマ。ニューヨークの片隅で鬱屈した日々を送るベトナム帰還兵の青年トラビス。不眠症の彼は、夜勤のタクシードライバーの仕事に就く。彼は夜の街を走りながら、麻薬や売春が横行する社会に嫌悪感を募らせていく。ある日、大統領候補パランタインの選挙事務所で働く美女ベッツィと親しくなったトラビスだったが、初デートでポルノ映画に誘いベッツィを怒らせてしまう。密売人から銃を手に入れ、自らの肉体を鍛え始めたトラビスの胸中に、ある計画が湧き上がり……。当時13歳のジョディ・フォスターが売春婦役を演じて注目を集め、アカデミー助演女優賞にノミネートされた。第29回カンヌ国際映画祭で最高賞パルムドールを受賞。

引用元:映画.com

ベトナム戦争の帰還兵(海兵)、不眠症の男トラビスがタクシードライバーとして働くお話。

主演と助演と監督

タクシードライバー
引用元:IMDb

主演は若き日のロバート・デ・ニーロ、主演時は33歳。

年齢を重ねて醸し出されるカッコよさとは違う、キレのあるカッコよさを纏っています。

ロバート・デ・ニーロ演じるトラビスは非モテな男ですが、ロバート・デ・ニーロの顔面のカッコ良さのおかげで引き締まった作品に仕上がっています。

それから私的に『タクシードライバー』で最も衝撃を受けたのが売春婦アイリス役のジョディ・フォスター。

当時13歳のジョディ・フォスターは、12歳の売春婦という何ともヤバイ役を実に魅力的に演じています。

ジョディ・フォスター
引用元:IMDb

何せかんせ顔が可愛い。

12歳でこの可愛さ、そりゃあプロダクションにスカウトされますわ。

そして監督はマーティン・スコセッシ。

マーティン・スコセッシ監督とロバート・デ・ニーロは何作もタッグを組んで名作を生み出していますが、『タクシードライバー』も間違いなくゴールデンコンビによる名作のひとつ。

アメリカンニューシネマの代表作

『タクシードライバー』はアメリカンニューシネマの代表作のひとつ。

アメリカンニューシネマとは1960年代~1970年代に流行ったハリウッド映画のことで、その特徴は主に下記のような点。

  • 反体制的・世間への不満を描く
  • 色々と説明不足
  • モヤモヤなラスト
  • 若者が主役

例を挙げると、『時計じかけのオレンジ』『イージー・ライダー』『地獄の黙示録』なんかもろにアメリカンニューシネマ。

これは当時ベトナム戦争に不満を抱いていたアメリカ世論を映し出していたとも言われていて、世相がまんま映画に影響を及ぼすってのは映画大国アメリカっぽいですね。

結局ベトナム戦争が終結した1975年あたりからアメリカンニューシネマは徐々に下火に。

1979年『地獄の黙示録』を最後にアメリカンニューシネマは終焉します。

アメリカンニューシネマは好みが分かれる作品が多く、初めてのデートでは観ない方が無難でしょう。

勧善懲悪、ラストには全てが丸く収まる系の作品が好きな方には全くオススメできないジャンルですね。

『タクシードライバー』もそんなアメリカンニューシネマらしい作品で、当時のアメリカ世論を知るには絶好の作品でしょう。

ちなみに私はアメリカンニューシネマかなり好き。

不眠症の帰還兵トラビスは世の中への不満を内に秘めた男

タクシードライバー
引用元:IMDb

ベトナム戦争で海兵として戦い、名誉除隊してニューヨークに暮らすイケメンのトラビス。

デニムにタンカースジャケット、いかにもアメリカンな服装です。

ちなみに名誉除隊とは、要は自主退職のこと。

「名誉」が冠するからと言って、兵士として輝かしい経歴があるということではありません。

トラビスは仕事に困っていたのか、決して優良企業には見えないタクシー会社にドライバーとして雇われることから物語は始まります。

作中の雰囲気・セリフから当時のタクシードライバーはいわゆる底辺職業、学歴やコネクションのある人が希望して働く業種ではないようです。

タクシードライバー
引用元:IMDb

戦争に駆り出され、命を懸けてアメリカのために働いたのに貧乏で孤独。

しかも底辺のタクシードライバーに甘んじるこの現実、トラビスの心はこの時点からかなりすさんでいたのでしょう。

作中では「不眠症」が強調されていましたが、おそらく戦場での経験からPTSD的な精神疾患もあったのでしょうね。

タクシードライバーとして夜のニューヨークを走り、運転席から街を眺めてはゴロツキ・娼婦・ジャンキー・ゲイの事を社会のゴミのように思い、そんな奴らはさっさと消えろ願うトラビス。

あるとき、タクシーに突然女性が「助けて」と乗り込んできますが、連れの男に連れ戻されてしまうシーンに遭遇します。

治安の悪さを象徴するシーンかと思えば、実はその女性は本作の超重要人物でありジョディ・フォスター演じる娼婦のアイリス。

このシーンはトラビスの脳裏に焼き付き、後に凶行へ及ぶ引き金ともなるのです。

ま、この辺はまた後程。

とまあ荒れた世の中への不満、そしてそんな世の中を作り出し放置している政府に不満を持ちまくるトラビス。

ただしこのときはまだ「内なる思い」として不満を溜めている状態で、何か行動を起こす素振りはありません。

顔はいいのにちょっとズレててモテない男トラビス

タクシードライバー
引用元:IMDb

トラビスはマジでイケメン、だけど全く女性にモテない。

ある日大統領候補パランタインの選挙事務所で働くベッツィに一目惚れ、驚異的な行動力で映画デートの約束を取り付けるトラビス。

タクシードライバー
引用元:IMDb

女心がわかっていないというか、人としてちょっとズレているトラビスは初デートでポルノ映画を鑑賞。

もちろんベッツィは怒り狂って帰宅、ベッツィとはそれっきりで完全に振られてしまいます。

そりゃそうだろと観ている側はツッコミたくなりますが、トラビスはそんな感性を持った男なのです。

極めつけは、ベッツィの選挙事務所に乗り込んで「死んで地獄に落ちろ!」とこれ以上ないほどの言葉で罵ります。

去り際くらい嘘でもいいからカッコつけようぜ、トラビス。

タクシードライバー
引用元:IMDb
  • ポルノ映画の受付女性をナンパ
  • 選挙事務所で働くベッツィをナンパ
  • 街で見かけた好みの女性をタクシーで尾行

行動力はあるのにモテない男トラビス。

トラビスの女性に対する感情は作品の重要なポイント。

トラビスに凶行を決意させたのも女性問題であり、最終的に凶行に及んだのも女性問題。

自分は女性に全然相手にされない。

なのにその一方で、不倫する女性を目撃したり女性を使って金を稼ぐ組織を目撃したりと女性に対するコンプレックスと不信感や不満がトラビスの中で徐々に高まります。

乗客と不倫現場を目撃してから狂人への道へ突き進むトラビス

タクシードライバー
引用元:IMDb

その乗客は妻の不倫を許せず、「44マグナムで家内を殺す」とトラビスに話しかけます。

ある日乗せた長髪ヒゲの乗客と、その乗客の妻の不倫現場を目撃。

この乗客が果たして本当に妻をマグナムで射殺するかは作中には描かれませんが、このシーンは結構重要。

今まで世の中の不満に対し、思いを内に秘めるだけで行動には移していなったトラビス。

「マグナム44」「殺す」という具体的な武器と行為を耳にしたことで、今まで内に秘めていた世間への不満を爆発させる具体的なイメージをつかんだ瞬間なのでしょう。

ここから先はトラビス怒涛の狂人モード突入。

  • 銃の購入
  • 筋トレ
  • 射撃練習
  • 部屋で射撃のイメトレ

ちなみにこの乗客役を演じたのは監督のマーティン・スコセッシ、カメオ出演というやつですね。

タクシードライバー
引用元:IMDb

マグナム44を含め銃を4丁購入し、更には筋トレを始めます。

体中に武器を仕込んだり、射撃練習場へ通ったりと明らかに何らかの犯罪行為の準備にしか見えません。

そう、大統領候補パランタインの襲撃をもくろみ、その計画実行に向けてのトレーニングなのです。

なぜパランタインなのかと言えば、選挙事務所で働くベッツィへの思いと、世の中への不満をぶつけるのにちょうどいい存在だったのでしょう。

タクシードライバー
引用元:IMDb

トレーニングに励む一方で、トラビスは街で12歳の娼婦アイリスと出会います。

そう、ある日「助けて!」とタクシーに乗り込んできて連れの男に連れていかれたあの女性と再会を果たすのです。

娼婦アイリスにただならぬ正義感を振りかざすトラビス

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引用元:IMDb

アイリス自身はタクシーに乗り込んだことを覚えていないと言いますが、逆にトラビスはそのことを猛烈に覚えています。

あのときの「助けて」を忘れられないトラビス。

アイリスが売春グループに無理矢理売春させられていると感じ、アイリスを売春組織から助け出すことを頼まれてもいないのに勝手に決意するのです。

相変わらず行動力だけはレベチなトラビス。

パランタイン襲撃に失敗、そのままアイリス救出作戦決行

タクシードライバー
引用元:IMDb

アイリス救出を決意する一方で、大統領候補パランタイン襲撃計画もついに実行のときが来ます。

トラビスの暮らす街に、パランタインが街頭演説にやってくるのです。

襲撃当日、何を思ったか目立ちまくるモヒカンヘアーにイメチェンしたトラビス。

確実に襲撃したいなら極力目立たない恰好でくるべきであり、目立ちまくるモヒカンなんてもってのほか。

トラビスの凶行は単に世間への不満をぶつけるだけでなく、自分という存在を世間に知って欲しい欲求が強いことをこのモヒカンヘアーが示しています。

いわゆる承認欲求が強いタイプ、現代であればSNSで真っ先に炎上するタイプの男でしょう。

トラビスは寂しさ・孤独を感じて生きているわけですから、世間の注目を浴びてとにかく目立ちたかったのでしょう。

ただまあ本番に弱いトラビス、明らかに挙動不審でしかもモヒカン。

パランタインのSPに勘づかれ襲撃は見事に失敗、逃走。

不満のぶつけどころを失ったトラビスは、その足でアイリスが働く売春宿へ向かいます。

相変わらず行動力だけは並みじゃあありません。

タクシードライバー
引用元:IMDb

こちらのアイリス救出作戦は体中に仕込んだ武器を駆使し、ボロボロになりながらも売春宿の関係者をやっつけてアイリスを見事救出。

ボロボロのトラビスはソファに座り、自分の指を銃口に見立ててコメカミを撃つ仕草をしながらゆっくりと目を閉じます。

このときの表情は要注目で、それまで作中で見せていた表情から不満・寂しさが消え何ともスッキリした表情に変わります。

タクシードライバー
引用元:IMDb

そこから場面が変わり、相変わらずタクシードライバーとして働くトラビスが登場します。

ん?さっきのドンパチ騒ぎはどうなった?

犯罪者トラビスではなく英雄トラビス

タクシードライバー
引用元:IMDb

アイリス救出により、トラビスは新聞で英雄扱い。

アイリスは両親の元へ戻り、無事に学校へも通い始めたとアイリスの両親から手紙も受け取ります。

アイリス救出作戦が法的に問題ないことはあり得ないと思いますが、やっつけた相手は全員売春宿関係者。

こういう輩はマフィアやギャングと相場は決まっていて、12歳を救出した功績もあり陪審員が無罪評決を下したのでしょう。

その辺のいきさつは映画に描かれませんが、そんなとこでしょう。
知らんけど。

アイリス救出直前までは大統領候補パランタイン襲撃を実行するつもりだったわけで、あのとき挙動不審なトラビスに気づいたSPが優秀だったことはトラビスはとっては人生最大の幸運。

もしあのときパランタイン襲撃が成功していれば、トラビスは間違いなく法に裁かれてシャバにはいません。

もちろんアイリスが両親の元へ戻ることもありませんでした。

この辺もベトナム戦争への世論の不満を映し出していて、例え命を奪ったとしても相手によっては凶悪犯罪者になるときもあるし英雄になることもある。

当たり前のように命を奪い合う戦争の不条理さを遠回しに訴えた場面でしょう。

それともう一点。

売春宿関係者が悪者だとしてもトラビスは拳銃を違法に入手した上、直前にはパランタイン襲撃未遂をした男。

その部分は罪に問われないのか?

あんな目立つモヒカンヘアーですから、目撃証言であっという間にパランタインの襲撃未遂犯としてトラビスが目を付けられること間違いなし。

これもベトナム戦争への世論を映し出していて、犯罪行為よりも英雄部分が強調されてしまう異常な世の中を風刺しているのでしょう。

アメリカンニューシネマの名作『タクシードライバー』

タクシードライバー
引用元:IMDb

ということで、『タクシードライバー』ネタバレ考察レビューでした。

若かりしロバート・デ・ニーロ、超若かりしジョディ・フォスター共演のアメリカンニューシネマは今観ても全く色褪せない名作。

この作品を観るにあたっては、当時のアメリカ世論(ベトナム戦争への不満)を把握してから鑑賞すると作品のメッセージ性をより感じやすくなりますね。

私の考察をあれこれ書いてきましたが、あくまで私の考察。

まずは一見を。

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タクシードライバー

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