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【大相撲とお金】角界独特の給与システムを簡潔に解説するブログ記事
今回は私の趣味のひとつである「大相撲観戦」から着想して、力士の金銭事情について調べてみました。
他人様の給料事情を根掘り葉掘り調べる下世話な記事となりますが、実は皆が気になるポイントだったりしますよね。
給料事情を知ると、力士達が命がけで厳しい稽古をしてぶつかり合い貪欲に勝ちを目指す気持ちを多少なりとも理解できるのではないでしょうか。
今回はあくまで相撲を取って稼ぐお金であり、CMやらTV出演やらのギャラには触れません。
月給をもらえる力士はわずか70人の厳しい世界
サラリーマンのように、毎月決まったお給料を貰える力士はわずか70人。
およそ650名以上いる力士の内70名ですから、割合にすればわずか10%。
毎月固定給を貰える70名の力士は「幕内」「十両」と呼ばれる階級にいる力士達、いわゆる「関取」とよばれる力士達だけなのです。
強ければたくさん給料を貰えるし、弱ければ一円も給料がもらえません。
まさに勝負の世界。
ちなみに力士の階級を強い順に並べると以下の通り、最も強い幕内力士から最も弱い序の口力士まで6つの階級に分かれています。
- 幕内:42人
- 十両:28人
- 幕下:120人
- 三段目:200人
- 序二段:定員なし
- 序の口:定員なし
関取の月給は高い?安い?横綱で300万円
では月給を貰っている関取は一体どのくらいのお給料を頂いているのでしょう。
- 横綱:300万円
- 大関:250万円
- 関脇:180万円
- 小結:180万円
- 幕内:140万円
- 十両:110万円
格付けによって月給は違って最高額は横綱の300万円、そして最低額は十両の110万円。
更に三役以上の力士には本場所特別手当も支給されます。
- 横綱:20万円
- 大関:15万円
- 関脇:5万円
- 小結:5万円
最低額の十両でも年収にして1320万円、例えば十両の力士が20代だとしましょう。
20代で年収1000万円超えともなれば「うぉ~、稼いでるな」なんて思いますが、これはあくまで関取の地位をキープしている間だけ。
不調やケガで幕下以下に転落すれば当然月給はなし。
そして力士の多くは遅くとも30代中盤で現役引退することが多く、稼げる時間が短いのです。
その辺を考慮すると関取の給料は果たして高いのか安いのか?、私的には安いなというのが正直なところ。
力士ほど「太く短く」を地で行くアスリートもいないでしょう。
幕下以下の力士も本場所手当は支給される
関取のように毎月給料を貰えるわけではありませんが、幕下以下の力士たちも本場所手当は支給されます。
- 幕下:16万5000円
- 三段目:11万円
- 序二段:8万8000円
- 序の口:7万7000円
毎月ではなく本場所毎の支給ですから、決して高額ではありませんね。
幕下以下の力士は相撲部屋で衣食住
月給をもらえない多くの力士達は貧困にあえいでいるかと言えばそうではありません。
体形を見ればわかる通り、少なくとも食に困っていることはなさそうです。
それもそのはず、幕下以下の多くは力士は相撲部屋に住み込みなので最低限の衣食住は保証されているのです。
相撲部屋側からすれば幕下力士は金食い虫かと言えば全然そんなことはなく、相撲部屋は抱える幕下力士の数に応じて相撲協会からお金が貰えます。
その貰えるお金というのが「力士養成費」「部屋維持費」的な名目で2か月に1度、幕下力士1人当たり30万円
を支給。
金のない幕下力士を多く抱えたとしても、相撲協会からお金が貰えるのでなんてことはありません。
年6回の本場所中に貰える賞金は主に3つ
毎月お給料が貰える力士は十両以上、つまりは関取だけと説明しました。
ただそれはサラリーマンでいう固定給の部分。
サラリーマンでも歩合制度があるように、力士達も当然ながら成績に応じた「歩合」に当たる収入があるのです。
月給以外に貰えるお金は大きく分けて3つ。
- 優勝賞金
- 三賞賞金
- 懸賞金・金星
いずれも年6回開催される本場所中に貰えるお金です。
優勝賞金:プロスポーツならば設定されていて当たり前
力士が月給以外に貰えるお金のひとつ、優勝賞金。
当たり前っちゃ当たり前ですが、年6回開催される本場所で優勝すれば賞金GET。
- 幕内優勝:1000万円
- 十両優勝:200万円
- 幕下優勝:50万円
- 三段目優勝:30万円
- 序二段優勝:20万円
- 序の口優勝:10万円
序の口の賞金はわずか10万円。
打ち上げに焼き肉なんて行こうものなら、力士達の胃袋と肝臓を持ってすれば一晩で溶けてしまう金額でしょう。
一方、力士にとって最高の栄誉と言っても過言ではない幕内最高優勝の賞金は1000万円。
序の口と比べればもちろん、20代30代が15日間で1000万を稼ぐと考えればドヤ顔できる金額です。
ただまあ、優勝賞金1000万円が高額かと言えばぶっちゃけ微妙。
優勝を争う本場所はたった15日間。
ですがそこへたどり着くために何年も汗と泥にまみれ、師匠や兄弟子達からありがたくも厳しい指導を受けようやくたどり着ける15日間。
ケガも覚悟で命がけのぶつかり合い、しかも本場所は年に6回だけ。
改めて思う、1000万円は高額なのか。
ちなみに最高の優勝回数を誇った白鵬関は通算45回優勝、つまりは優勝賞金だけで4億5000万円。
三賞賞金:関脇以下の幕内力士だけに貰える賞金
本場所で優秀な成績を収めた幕内力士の内、関脇以下のだけが貰えるのが三賞。
- 敢闘賞:200万円
- 技能賞:200万円
- 殊勲賞:200万円
いずれの賞も賞金は200万円。
一人の力士が一場所で三賞全てを受賞は意外と少数で、過去に5人だけ。
- 大受
- 大錦
- 貴花田
- 出島
- 琴光喜
しかもこの内、貴花田と出島は幕内優勝もするという無双っぷり。
ちなみに横綱・大関は三賞の対象外ですので、一気に番付を駆け上がった力士は三賞受賞数が少なかったりします。
懸賞金:人気者力士との対戦は大金GETのチャンス
続いてご紹介するのが懸賞金。
懸賞と聞けばハガキで応募して商品が当選するアレを連想しがちですが、大相撲における懸賞金は全然違います。
企業や団体が、応援したい力士の取り組みに対してお金を出すのが大相撲における懸賞金。
単純に応援するだけでなく、取組前に呼び出しさん達が企業や団体の宣伝になるような懸賞旗を持って土俵をぐるりと一周します。
単純に力士を応援する意味合いと、企業や団体を宣伝する意味合いがあるのです。
この懸賞金というのは応援したい力士に直接送られる訳ではなく、取組に対して懸けられるもの。
そしてその取り組みに勝った力士が懸賞金を総取りできる仕組みなのです。
例えばA力士とB力士の取り組みに対して懸賞金が懸けられていたとして、企業的にはA力士を応援して懸賞金を出したとしてもB力士が勝てば懸賞金はBのもの。
大相撲界らしく、強いもの・勝った者だけが金を稼げるシステムはここにも。
ちなみに懸賞金は1本7万円。
その内3万円は勝った力士に送られ、3万円は勝った力士のために積み立てられ引退するときに退職金として支払われます。
そして残る1万円は手数料として相撲協会がニンマリと頂くのです。
相撲界独特のご褒美制度「褒賞金」
力士の金銭事情を知る上で重要なのが「褒賞金」(ほうしょうきん)、別名「持ち給金」。
本場所ごとに十両以上の力士のみ、つまりは関取のみに支払われる賞金です。
一体いくら支払われるのか気になるところですが、これはその関取によって全く異なります。
相撲部屋入門から現在に至るまで、成績に応じて点数が加算され続け獲得賞金が変化するやる気UP間違いなしのシステムなのです。
この点数は減算されることなくひたすら加算、例え不祥事を起こそうとも減算されることは一切ありません。
そしてこの加算された合計点数を4000倍した金額が、褒賞金として本場所ごとに十両以上の力士に支払われるのです。
上記サイトを参照させて頂くと、最強横綱の白鵬関は点数が2092円。
実際に受け取る賞金はそれを4000倍した836万8000円、これを毎場所褒賞金として引退するまで受け取っていたんですね。
褒賞金の点数一覧
褒賞金の点数は、「番付による点数」+「成績に応じた点数」の合計になります。
番付による点数
- 横綱:150円
- 大関:100円
- 幕内:60円
- 十両:40円
番付による点数は場所毎に加算されていくわけではなく、その場所時点での番付により点数が決まります。
ある力士が大関5場所目を迎える場合の点数は、100円×5場所=500円ではなく単純に100円のみ。
褒賞金は本来加算されていく点数ですが、番付による点数だけは基礎点のようなニュアンスなんですね。
成績による点数
- 金星:10円
- 幕内優勝:30円
- 幕内全勝優勝:50円
- 勝ち越し:50銭(0.5円)
成績による点数は、番付による点数と異なり生涯の積み重ねで加算され続ける点数です。
例えば平幕力士が横綱から白星を挙げる金星は10円。
実際に貰える賞金はこれを4000倍した金額ですので、金星を1つ上げると4万円。
十両以上にいる限り、この4万円は毎場所支給され続ける賞金となるのです。
もちろん金星を10回挙げた力士は、10円×10回×4000=40万円が毎場所支給。
金星を挙げることや勝ち越すことは番付を上げる点でも重要ですが、実はお金の面でも非常に大きな意味があるんですね。
伝説の横綱:白鵬関の年収を計算してみる
2021年9月に現役引退した横綱:白鵬関は伝説的に強く、数々の記録を打ち立てました。
- 最多幕内優勝(45回)
- 最多幕内全勝優勝(16回)
- 最多幕内通算勝利(1093勝)
- 最長横綱在位(84場所)
そんな伝説的な横綱の年収を下世話ながら計算してみます。
大相撲界においては強さ=稼ぎ、伝説的に強い横綱は伝説的に稼いでいるのです。
- 月給:300万円×12か月=3600万円
- 場所手当:20万円×6場所=120万円
- 優勝賞金:1000万円×6場所=6000万円
- 褒賞金(推測):836万円×6場所=5016万円
年6場所を全て優勝すると仮定して計算すると、約1億5000万円。
ここから更に懸賞金、本場所とは関係ないTV・CM出演のギャラも含まれるので推定年収は3億円といったところでしょうか。
んー、すげえ。
まとめ:弱肉強食を地で行く大相撲界
強ければたくさん稼げるし、弱ければほぼ無収入。
これほどまでに弱肉強食を地で行くアスリートは、この広い世界を探せど珍しいことでしょう。
大相撲の本場所は年6回のお楽しみ。
力士達のアツい取り組みをシンプルに観戦するのももちろんアリでしょう。
ですが、勝てば勝つほどお金を貰える仕組みと勝たなければ全くお金を稼げない仕組みを知るとまた違った観戦も楽しめますよね。
みんな、大相撲観ようぜ。